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勉強会報告9の1

勉強会の報告は5月分までご紹介したが、
6、7、8月がなかなかまとめられないので最新版をご報告する。

9月の勉強会の報告(前半)

◆まず最初に、9月名古屋での金子真弓さんセミナーの報告
行動原則とクリアーなコミュニケーションについてのお話。
「指導者」と「飼主」との間のコミュニケーション方法について
カウンセリング技術の紹介。

◆次にケーススタディ
特にコミュニケーションチェックの数字の読み方について。

ポメ、2歳、♂、去勢済み   
父 5・2‐15・4・9・3‐24・04・43‐3 遠吠え
母 5・2‐11・8・7・10‐33・22・12‐2

少し長くなるが、まとめてみる。
点数は同じ犬に対する「父」と「母」それぞれによるもの。
左から

ストレス・ストレス管理、社会化不足・信頼・愛着・行動抑制、
テリトリー・物・飼主自身という資源に対する
犬の欲求度合いと飼主の管理度合、咬みの抑制

となっている。
僕自身はこの犬との接触はないが、数字からわかる情報を記す。

□管理
ストレスレベルがマックスなので、
落ち着いた、とにかく吠えない生活をさせる、
匂い嗅ぎやトレーニングで疲れさせる、
静かにゆっくり寝る時間を昼間、夜間と確保する、
ことなどが最重要。

まずストレスマネジメントの点数を上げること。
ただ、散歩については社会性がないので配慮が必要かもしれない。
刺激に吠えまくっているようではまずいので、
静かに散歩ができるところまで車で移動するなど。

日常的に移動できるスペースを十分にとり、
穏やかに暮らせるように工夫する。
縄張りを守る気持ちが強いので、窓に目隠しをする(カーテン不可)、
玄関に飛び出させない等も必要。

犬の要求吠えに飼主が反応しないように。
無視すると一時的に吠えは酷くなるが、やがてなくなる。
(これは学習のひとつだが、問題を悪化させないために必要なので
管理に入れた。同様に関係づくりにも入れている。)

□学習
社会性をつける機会をしっかりつくる必要があるが、
初めて会うインストラクターにどれくらいの時間で慣れたかを目安に、
他人に慣らすエクササイズを続ける。

食欲があるようなら一人でも多くの人に、
超スペシャルなおやつを与えてもらう。
もちろん健康を損なわない程度に。

同様に外の環境でも楽しい美味しいことが起こると経験させる。
時間がかかるがじっくりしっかり繰り返すことをお勧めする。
去勢により食欲が増すので他人や環境に馴れやすくなる。
が、太らないような管理は必要。

外で音が鳴ったり、インターホン、電話の呼び出し音などにたいしても
拮抗条件づけが必要かもしれない。
その音源と離れた位置で美味しいオヤツを与える。

普段から頭を使うエクササイズが必須。
クリッカーエクササイズなどがおススメだが、
簡単な遊びでよいので1日20分ほど食べ物を使った
レッスンタイムを作る。

ご褒美は基本ドッグフードで行ない、残りを食事にしても良い。
エクササイズには必ず「マテ」を入れる。
「マット」や「ハウス」もとても良い。
犬が自ら進んでそこに行くように、
そこで犬がくつろいで待つように教える。

ピンポンハウスができるようになれば最高。
(インターホンの音をハウスの合図にする。とても効果的。)

□関係
ご主人の言うことの方をより聞くようだが、
ご主人は怖いのだろうか?
そうでなければ「飼主自身」という資源をさらに管理し、
報酬として与えていくようにすべき。

無理やり何かしているようならすべてやめてもらう。
いろんなことに少しずつ馴らしていく方がよいと思われる。

奥さんは甘やかし過ぎなのか、
犬にあまり関わりたくないのか分からないが、
いずれにせよ関係を見直す必要がある。
ストーカー度合が高いので甘やかし派なのかもしれない。

奥さんの接し方を変えていただかなくてはならないが、
犬が怒ることはしないこと。(多分、触れないかもしれない。)
拮抗条件づけで少しずつ手入れなど触る練習をすること。
(撫でることと手入れは犬にとって全く別ものです。)

お二人とも犬の要求行動は全て無視をしていただき、
「おりこう」な時のみ関心を向けるようにする。
上記「学習」のエクササイズをしっかりやっていただければ
かなり改善するはず。

一緒に寝ているのなら、クレートを枕元に置いて、
その中で寝かせるのも良いと思うが、 かならずしも必要ではない。
自立心をつけるような暮らしが必要だが、
不安が大きくなるような急な変化は逆効果。
少しずつ自信をつけさせること。

誰に対して咬んでいるのか、何をしているときなのかがわかれば、
より細かいアドバイスが可能。
(恐らく縄張り吠えをとめるとき、手入れをするとき、
物を守って(奥さんのみ)、気に入らないとき、などだろうか。)

犬との生活にとってどんな必要があったとしても、
咬ませない生活が必須。
(足拭きなどしなくても死にませんものね。
拭く代わりに濡れぞうきんの上におやつをまいて歩かせれば、
少しはきれいになるかもしれません!)

ケーススタディは以上。
これらの情報を基に飼主さんから聞き取りをすれば
さらに問題の核心に近づくことができる…かもしれない。


あまりご要望はないのだが、
「コミュニケーションチェック読み取りサービス」を
有料で行おうかと考えている。
近々、専用のHPを作ろうかと思う。
よかったらご利用いただきたい。

仔犬に大事な4つのこと

「仔犬に大事な4つのこと」と題した資料を仲間と作成した。
仔犬の社会化の重要性は僕たちの間では自明のこと。
一般の飼主さんの多くはことの重要さに気づかないことが多い。

甘噛みやトイレの失敗やものをかじることが一大事なのはわかる。
しかし、将来のために必要なことは別にある。
最小限やっておくべき4つのことをまとめたのが上記の資料。
P.I.G.のホームページから取得できる。

今回はその解説をご紹介する。
資料は動物病院で配布していただくことを目的としている。
そのため獣医師に納得していただける説明が必要だ。
以下にその解説の内容を紹介する。
解説はいくつかの文献をまとめたものなので最後に紹介する。


1)社会化の重要性

① 社会化期にすべきことと避けること
社会化期前半(生後3週~8週)は、母犬や同胎犬への社会化、
すなわち犬であるということや犬同士のコミュニケーション、
ルール、噛みの抑制、感情の抑制を学ぶ。
後半(生後6~12週)は、周辺環境や他の動物への社会化が促進される
と言われ、人との接触の仕方や人間社会での適切な行動はこの時期に学ぶ。
人への社会化は生後12週齢以降になると困難だと言われている。(※3)

生後8~10週齢頃(特に8週齢)は、仔犬にとって最も精神的に敏感な時期
と言われ、肉体的・精神的な傷を被ると回避反応が最も生じやすく、
次第に新奇刺激を避けようとする行動が現れる。

この頃の恐怖体験は生涯にわたり記憶に残りやすい。(※4,5)
つまり、仔犬期に受けた強い刺激は消えにくいことから
“怖い”経験はさせないことが重要だと言える。

② 社会化期後の警戒心
生後4~6ヶ月齢頃から一時的に恐怖に対する感受性が高まり、
テリトリー意識が発達し、それにより吠えなどの攻撃行動が
見られるようになる。(※6)

今まで平気だったものや気にしなかったものを怖く感じたり
警戒したりするようになる。
社会化期を過ぎても“継続した社会化”が必要である。


2)脳の成長

仔犬期の社会環境が脳中枢の発達に大きな影響を与える。
この過程で神経細胞の発達は増加から減少へ転向し、
中枢神経系における必要な経路を保存し不必要なものを委縮させるという、
成長後の行動形質獲得に必須の過程を経る。(※7)

つまり、適切な時期に適切な経験をさせることで、
適切な神経回路をつなぐことができ、経験させることなく
回路がつなげなかったものは消失してしまう。(★2)

(★2)子猫の目の実験(D.H.ヒューベルとT.N.ヴィーゼルの研究)では、
生まれたばかりの子猫のまぶたを縫合し、数か月後に抜糸をした結果、
目に映ったものが何であるかを認識する機能を失っていた。
実験期間中、視覚刺激を全く与えられなかったため、
脳の視覚野は発達できなかったのだ。
その後、この認知機能は二度と回復しなかった。
このことから、機能を獲得するには、そのための適切な時期がある
と考えられた。(※8)


3)発育初期にすべきこと

① 身体を触る
幼児期(生後2日~4、5週まで)に軽くて短い身体的ストレス(★3)を与える
ことで、将来受けるストレスへの耐性がつき、感情反応も穏やかで、
ストレスに対して「強弱をつけて」反応する。
また、脳の反応にも影響を与え、問題を解決する速度が早くなる。(※9,10)

人との接触(グルーミング等(★4))を通じて、
良好な絆や社会的愛情が生まれ、
なでられたり褒められたりすることを楽しみ、
心拍数も著しく減少する。(※11)

(★3)これを行なう目的は、神経組織が活動し始める時期を早めることにある。
それによって脳の反応力が高まり、成長後の行動に違いが出る。
感情面、知能面でもプラス効果があり、子犬の成長も早くなる。(※12)

例)短時間狭い空間に入れる、冷たい物を体に当てる、様々な足場の上を歩く、
回転させる、体を指でさするなど。強く長い刺激は逆効果となる。

(★4)ラットの実験によると、グルーミング行動が多い母ラットに
育てられた子ラットは、少ない母ラットに育てられた子ラットに比べ、
成長後のストレス反応や不安行動が低下するという結果が出ている。
(※13,14,15)

② 豊かな環境で育てる
豊かな環境として好ましいのは、多種多様な場所と物があり、
珍しくて刺激的な経験ができ、そこで新しいものを学び、
問題を解決し自由に探索し、あれこれ試し、
物や場所と触れ合えることである(★5)。(※16)

(★5) 例)ときどき状況が変わる障害物や迷路、食べ物探しなど
豊かな環境で育てることにより、脳の発育が促され、
問題解決能力や学習能力が高まり、感情的に落ち着き、
状況に対してストレスから立ち直るのも早かった。
また、豊かな環境には、知的な刺激と社会的接触の両方が必要で、
もっとも重要なのは、学習と問題解決の機会を与えることである(※17)

子豚の実験では、退屈な環境で育てられた子豚は、刺激が乏しいために、
夜中も異常に活動的になり、人に対する刺激の欲求も増加した。
これは「探索」システム(★6)が異常に活発になるからではないか
と考えられる。(※18)
刺激の決乏は仔犬の人への激しい甘噛みにつながるのではないかと考えられる。

(★6)自分の身の回りを探検し、調べ、理解したいという基本的な衝動
:パンクセップ博士(※19)


4)家庭でやってほしいこと

① あらゆるモノの印象を良くする(感情の貯金)
『感情の貯金』とは「刺激に馴らす(馴化)」だけでなく、
「刺激」と「おいしい食べ物」を関連づけ(古典的条件付け)、
「刺激の印象をあらかじめ良くしておくこと」で、
≪あれは何だろう?→平気→好き!→大好き!≫と印象を変えていく。

それにより万が一、印象が悪化した場合でも軽く済み、リカバリーも早い。
また、第一印象を良くすることはとても大事で、
その刺激の印象を決定づけるほどの効果がある。
  
② 守る行動を強化しない
本能的な行動(生得的行動)は経験を繰り返すことで強化される。
犬が物を守ることは「本能」であり、日常生活で犬が口から物を奪われる経験を
繰り返すことで「守る行動(くわえて逃げる、飲み込む、うなる、咬むなど)」
が強くなる。

また、仔犬期は様々なものを口で確認する。
その際の“飼主の過剰な反応(大騒ぎなど)”は仔犬の行動を強化させる
可能性があるため禁物である。

本能にかかわる学習の基本は『悪い行動をさせない管理』と
『良い行動の強化』である。
つまり、危険なものをくわえる状況を極力排除した上で、人が奪うのではなく、
人に渡す(まずは食べ物と交換する)ように教えることが重要である。

③ 自立心を養う(分離不安の防止)
「飼主は戻ってくること」と「この場所でひとりでいることは平気」だ
と学習させることが大事である。
これを学習させる前に、長時間の留守番を経験させ続けることで、
犬の不安は増していき、ひとりで留守番ができない犬になる可能性が高まる。
飼主の外出は「別れ」ではなく、
「戻る」ことを期待させるように学習の手順を踏むことが必要。(※20)

④ ガマン(抑制)を好きにする   
社会で暮らす上でガマン(抑制)はかかせない。犬に生活のルールを伝え、
それを守ることでお互いが快適な生活を送ることができる。
ガマン(抑制)を伝える上での注意点は、無理やりではなく
犬が喜んで受け入れたい!と思う方法で伝えることである。


※3 『理想の犬の育て方』スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫 P.189-196
※4 『フォックス博士のスーパードッグの育て方 イヌの心理学』マイケル・フォックス著 北垣憲仁訳 白揚社 P.144
※5 『犬と猫の行動学 基礎から臨床へ』内田佳子・菊水健史著犬と猫の行動学 学窓社 P.14
※6 『犬と猫の行動学 基礎から臨床へ』内田佳子・菊水健史著犬と猫の行動学 学窓社 P.15
※7 『犬と猫の行動学 基礎から臨床へ』内田佳子・菊水健史著 学窓社 P.12
※8 『赤ちゃんと脳科学』小西行郎著 集英社新書 P.42
※9 『理想の犬の育て方』 スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫 P.173-174  P.180-181
※10『犬も平気でうそをつく?』 スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫 P.187
※11『フォックス博士のスーパードッグの育て方 イヌの心理学』マイケル・フォックス著 北垣憲仁訳 白揚社 P.136-139 
※12『理想の犬の育て方』 スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫 P.181
※13『犬と猫の行動学 基礎から臨床へ』内田佳子・菊水健史著 学窓社 P.27
※14「リード装着時の吠え回数」の実験Scott&Fuller(1965)より
※15「人への接近スコア」の実験Freedman et al.(1960)より
※16『理想の犬の育て方』 スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫 P.220
※17『理想の犬の育て方』 スタンレー・コレン著 木村博江訳 文春文庫P.206-217
※18『動物が幸せを感じるとき』テンプル・グランディン著 中尾ゆかり訳 NHK出版 P.21-26
※19『動物が幸せを感じるとき』テンプル・グランディン著 中尾ゆかり訳 NHK出版 P.16
※20『犬はあなたをこう見ている』ジョン・ブラッドショー著 西田美緒子訳 

短大のカリキュラム(2)

前回に引き続き鈴短のカリキュラムを具体的に解説してみる。
授業は大きく座学と演習にわかれる。
座学はさらに3つにわかれる。
一般的知識と、犬についての専門知識、そのもとになる学問的知識。
①、②、⑩、⑪、⑭は一般的知識、③、⑫、⑬、⑮は犬の専門知識、
④は学問的知識、となる。

授業の中身を簡単にまとめてみる。

①ペット概論は、一般向けで獣医学的な視点から犬や猫について学ぶ。
からだのしくみや家庭で役立つ獣医学などが中心。

②ペット生活論は、一般向けで犬を取り巻く様々な状況を学ぶ。
いわゆる、犬の一般教養ってところ。
例えば、犬の学習や習性・能力、犬種特性、動物行政(法律含む)、
ペットロス、動物福祉、動物介在教育、倫理と道具、パピー、
犬の飼い方、犬の性格診断など様々。

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③ペットコミュニケーション学Ⅰは、
犬を飼うすべての人に知っていただきたい「犬学」のすすめ。
例えば、犬の歴史、本能、学習、ボディーサイン、クリッカー、
アニマルウェルフェア などについて学ぶ。

④ペットコミュニケーション学Ⅱは、もう少し学問的。
動物行動学や学習心理学の基礎を学ぶ。
今年は学習の基礎となる部分を行動分析学の研究者を講師に招き
集中講義をして頂いた。

⑤演習Ⅰは、ハンドリングの基礎を学ぶ。
前半は、ハンドリングで人が求められる技術を犬なしで学ぶ。
後半は、犬にケアーを受け入れてもらうためのエクササイズと
基本的なD.I.N.G.O.イントロクラスのハンドリングを学ぶ。

ちなみに演習は自分の犬で受講できる。
その他の学生は学校犬のすず、学外協力犬(現在3頭)と一緒に学ぶ。

⑥演習Ⅱは、D.I.N.G.O.ノービスクラスのハンドリング。
基本的な行動の伝え方を学ぶ。
エクササイズを通してモチベーショナルトレーニングの考え方を
理解できるようにテキストは作られている。

⑦演習Ⅲは、より細やかなコミュニケーションが必要とされる、
D.I.N.G.O.アドバンスクラスのハンドリング。
後半にアドバンス・ハンドリングテストの各項目をデモ犬で受ける。

⑧演習Ⅳは、ドッグスポーツなどを実際に体験する。
競技のルールなどを学んだ後、天候にもよるがドッグランでお試し。

⑨演習Ⅴは、前半はクラスのカリキュラムを製作する。
後半は1年生の演習Ⅰにアシスタントとして参加する。
人は教えることで学ぶことがとても多い。
実はこの授業は来年度から実施する。

⑩特講Ⅲは、現場で求められるコミュニケーション技術を学ぶ。
社会で必要な一般的な知識と技術を身につけることを目的としている。

毎年、進化している授業(発展途上ということ!)で、
サービスの基本や、犬の仕事のマネージメント、
顧客や組織内でのコミュニケーションに役立つエクササイズなどを、
試行錯誤で学んでもらう。

実際に職場での報告などの際に求められる基本的な文章力と論理力
(言葉で物事を伝える能力)を鍛えることも含まれる。

例えば、言葉だけで地図や国旗、状況や作業手順を伝える練習や、
言葉を使わずに仲間で協力して問題を解決をするエクササイズが
用意されていて、見ているだけでも楽しい。

⑪特講Ⅳは、プレゼンテーションとインストラクションを学ぶ。
テキストの文章を抽象化し、要点をまとめ、キーワードを拾い出し、
具体的な言葉でプレゼンテーションする。
テキストは、『インストラクショナル・デザイン』島宗理著。
インストラクションの基本的なルールを学ぶが、
実際には共同でのプレゼンテーション経験がとてもためになると思う。

⑫特講Ⅴは、2つからなる。
ひとつは犬のボディーサインを連続写真から読み取る。
『ドッグトレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック』
ヴィベケ・S・リーセ著がテキスト。

これまではイベントで撮影した写真や映像で学ぶしかなかったのだが、
良いテキストが出版されてありがたい。
(『犬って何考えてるの!?』PHP グエン・ベイリー著もよかったが
残念ながら絶版!連続写真ではないが、とても良い入門書)

もうひとつは犬のトレーニングエクササイズの技術論。
褒め方から叱り方、プロンプトの引き上げ、トレーニングレベルの調整
など、実際のトレーニングで役立つ理屈を学ぶ。

⑬特講Ⅵは、問題行動の解決。
これまで学んだ知識の総集編と言ってもよい。
問題行動の基本を学んだ後、実際の問題の対処法を考える。
今年は学生の犬の抱える問題を俎上に載せる予定。

⑭アニマルセラピーは、前半と後半にわかれる。
前半は人と動物との関係について学ぶ。
人と動物の家畜化の歴史や動物が人に与える影響、
人や社会と動物とのかかわりなど。

後半はAAA(動物介在活動)やAAT(動物介在療法)、
学校などで行うAAE(動物介在教育)の知識を得る。

僕が関わっている少年院や薬物治療共同体でのプログラムや
過去にかかわったAAAや小学校でのAAEについても紹介する。

⑮動物看護学、⑯動物看護演習、⑰トリミング実習は、
今年度の入学生からスタートする授業。
動物病院への就職希望者が多いことから加えられた。

以上が、短大でのペットコースの専門授業。
これに一般教養、開業獣医師による公開講座が加わる。
授業の作り方についてはまたの機会に考えたいが、
できるだけ講義式にならないように今後改良していきたい。

ちなみに、ペット生活論、ペットコミュニケーション学Ⅰ、Ⅱ、
特講Ⅴ、特講Ⅵは、一般の方も受講できる。(特講Ⅴは予定)
15回で1万円と非常にリーズナブル!?
一度お試しあれ。

勉強会報告8の2

5月の勉強会報告の続き

◆引っ張り犬対策
わが家でお預かりのゴールデン(34.5キロ)のハンドリングを通して
引っ張り犬への対処法を考える。
リードは3mや5m、1.8mの利用を想定。

①すぐにできること
・リードが張ったら進まない(手を固定し手首を返す)
・ポンピングブレーキ(リードが長い場合、一度に止めると双方の
  負担が大きいため、止めては緩める…を繰り返し勢いを止める)
・振り返ったら褒める(名前と関連づけることも)
・人が止まったら止まる(フードで強化)
・呼び戻しの練習

②少しトレーニングが必要
・ヒールポジションを教える
・床にフードを投げてアイコンタクト(衝動を抑える練習)
・リードの張り具合を常に一定に(止めたい瞬間に止める準備)
・止めたら緩める(引っ張りっこにならない)

③トレーニングが必要
・ソフトリード(オイデの合図としてリードを“ソフト”に引く)
・一緒に歩く(行きたい所に行くには飼主の横について歩くことを
  犬が自発的に選ぶ)
・リードを張る動きの「出始め」を止める(人のトレーニング)

◆こんなセミナー聞いてきた「目次」
最近はセミナーが減った。特に海外からの講師によるものは。
これまで聞いてきたセミナーの内容を簡単に紹介することで
知識に厚みが出るかも…と始めた企画。
今回は目次のみ。

・2000.01 トゥーリッド・ルーガス  「カーミングシグナル」
・2002.07 スザンヌ・ヘッツ     「デルタ協会での事業」
・2002.11 イアン・ダンバー   「イヌの問題行動としつけ」
・2002.12 スザンヌ・クローサー  「アスレティックドッグ」
・2002.12 山崎恵子     「アニマルシェルターを考える」
・2003.07 サラ・ヒース 「犬社会の支配性・階級制について」
・2003.07 小田史子         「3つの箱と4つの法則」
・2003.07 ビリング・ハースト       「生食セミナー」
・2003.11 ワイン・ハンゾーセン         「行動学」
・2003.11 ドーン・イエイクス    「チューズトゥヒール」
・2004.  ピア・シルバーニ     「パピートレーニング」
・2004.04 パメラ・リード            「ASPCA」
・2004.07 ジーン・ドナルドソン  「イヌの行動と矯正方法」
               「最先端のドッグトレーニング」
             「イヌのコミュニケーションと感情」
・2004.10 行政獣医師           「RSPCAの紹介」
・2004.11 イアン・ダンバー「トレーニングテクニックの比較」
・2005.05 ピア・シルバーニ      「コーチングスキル」
・2005.06 ケン・マッコート        「難しい犬の…」
・2005.08 リエン・バーカー        「罰を科学する」
・2006.07 レイ・コピンジャー   「イヌの歴史・行動学…」
・2006.09 ジェニファー・メッセ     「パピークラスを…」
・2006.09 中島定彦        「犬の社会的知性を探る」
・2007.03 トゥーリッド・ルーガス  「カーミングシグナル」
                (ワークショップ&キャンプ)
・2007.10 ケン・マッコート      「ボディーシグナル」
                   「コンサルテーション」
                (ワークショップ&キャンプ)
・2007.11 アンジェラ・ストックデイル「ティーチングドッグ」
・2008.03 ボブ・ベイリー       「行動の科学と技術」
・2010.09 ピア・シルバーニ      「シェルターワーク」
                       「遊びの科学」
                「攻撃性のある犬のリハビリ」
・2011.06 クライブ・ウィン     「イヌの失われた歴史」
            「なぜイヌは我々をそれほど愛するか」
・2011.11 ケン・マッコート       「ウルフパーク」
                   「エバリュエーション」
                 「行動アセスメント・学習」
・2011.11 尾形庭子          「犬と猫の問題行動」
・2012.05 イアン・ダンバー 「学習理論、実践アプローチ…」
・2013.02.24 平井潤子  「被災地に学ぶペットの防災対策」

他にもあるのですが、現在、資料捜索中!


◆認知行動療法セミナー報告
奈良の薬物依存治療共同体施設(月1回ドッグプログラムを開催)で
認知行動療法のセミナーが開催されたので、簡単にご報告。

認知療法と行動療法に分けて解説がある。
行動療法は僕たちがよく知っている手法で、
4つの随伴性や消去バーストなどの解説と治療例の紹介がある。

認知治療については、人によって物事の認識のしかたに癖があり、
その癖を知り、他の受け取り方と調整することで
考え方を少し変えてみようというもの。

セミナーはとても面白く、
お客さんとのコミュニケーションに役立つのではないかと思い、
講師として勉強会にお招きしてのセミナー開催を検討中。
赤字は悲しいのでその際は皆さんふるってご参加ください。

今回は以上です。

勉強会報告8の1

勉強会のご報告。
4月はお休みで、5月分となる。

内容は。
・問題行動のケーススタディ4題
・クリッカーで時間を延ばす(映像)
・金魚のクリッカー(映像)
・本の紹介
・引っ張り犬のハンドリング
・こんなセミナー聞いてきた「目次」
・認知行動療法セミナー報告
など盛りだくさん。

ケーススタディ
①動くものを追うボーダーコリ-:
特に子どもに対する攻撃が見られることから要注意。
興奮して動くものを追う犬のリードを短く持ち止める飼主の脚を
転嫁行動で咬む。(出血あり?)

子どもに恐怖心がある場合は脱感作と拮抗条件づけが有効。
追う行動と攻撃行動は内的報酬が出ている可能性があるため、
経験させないことが重要。

気をそらせ追わないことをほめるが、地道な努力が必要。
並行してマテ、衝動を抑えるガマン練習、関係づくりが必要。
ヘッドカラーも有効。

クレートにいる時間が長いため改善を。
同時にコンサルテーションに必要な項目を確認。
シートに改良点あり。

②生後5ヶ月の飼主の脚を咬む柴犬:
娘が散歩に行くときと、母親との散歩帰りに咬む。
強化子は何かを考える。
「負の強化」の場合は「危険」か「帰宅」の回避が、
「正の強化」の場合は「飼主の反応」か「散歩自体」が
ごほうびとなる。

咬まれないようにしながら機能が同じ(同様の結果が得られる)
他の行動を教え強化する。
応用行動分析の手法について、次回、勉強をすることに。

③食事を出される時に牙を見せ唸る柴:
この犬は散歩からの帰りに鎖をつなごうとするとキレて咬む。
今回は食事時の問題についての報告。

アプローチの手順は、
1)おいしいオヤツを手に持って近づきオスワリをすると与える。
(ドッグフードを持っていくと唸る)
2)空の皿を置き、オヤツを持って近づきオスワリしたら皿に入れる。
3)ドッグフードとオヤツを持って近づきオスワリしたら皿に入れる。
4)ドッグフードを持って近づきオスワリしたら皿に入れる。
5)近くに置いてあるドッグフードを手に取り、
近づいてオスワリしたら皿に入れる。
6)皿の回収後はさらにおいしいオヤツをあげる。
(すべての過程で、唸ったらUターンし、
唸るのをやめたら再度近づくことを繰り返す。)

この後、唸らなくなったことから、
行動レパートリーに唸る以外の行動選択がなく、
その行動が強化されていたが、新たな行動を理解(正の強化)し、
唸ることをやめた(負の弱化)、という感じ。
リードをつなぐ件は次回にご報告。

◆映像(参加者のインストラクター制作
・時間を延ばす:犬が人の手で作った輪っかに鼻を突っ込み
そのまま静止するまでのシェイピングの映像。

・金魚の輪くぐりシェイピング:
光を二次強化子にしたシェイピングはお見事!
金魚の学習過程が見れる!
YouTubeで検索可能とのことなのでぜひ一度ご覧あれ。
D.I.N.G.O.のHPのトップページ右下にある
ブログ「ウルトラシロの…」から入れる。

◆本の紹介
普段お客様にお薦めしている本と、新しく出た本を紹介。
『ブレイン・ルール』は学習の際の脳の働き方を12にまとめたもので
とっても面白く、人に教える際に参考になる。

ヴィベケ・リーセの『ドッグトレーナーに必要な…』シリーズの
続巻2冊を紹介。
首輪による身体的影響についての記述があり、
そのひとつとして眼圧の上昇が問題視されている。

◆NRM(ノーリウォードマーカー)について考える
「あっ」は「負の弱化」(やろうとする行動を弱化)と
      「正の強化」(やめる行動を強化)
「残念」は「負の弱化」(やろうとする行動を弱化)
「違う」は消去(やろうとする行動を消去)と
      「正の強化」(他の行動を強化)

「違う」を覚えると消去バーストが起こらない。
考えてみれば古いけど画期的な合図かも。

※『弱化と消去の合図』でより詳しく紹介している。

以上、ご報告「前半」でした。
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