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探しものは楽しい!

犬のストレス解消には
「匂い嗅ぎ・かじる・ぐっすり眠る」
の3つが大事。

以前「匂い嗅ぎ」について、
何かを見つけて食べるとき、食べることよりも見つけることのほうが
犬にとって楽しいのではないかと書いた。

わくわく感、期待感が脳に快楽を生むのだろうか。
神経伝達物質であるドーパミンの働きが関わっているようだ。
少し前までドーパミンは快楽を生むと思われていたが、
『快楽の脳科学』(廣中直行著 NHKブックス)によると
ドーパミンが働くのは期待感が高まる状況でだ。
「目立つもの」に反応し、行動を強める働きがあるらしい。

『動物が幸せを感じるとき』にも猫の探索行動とドーパミンの関係が書かれている。
「探索」に対する報酬は「期待感」だという。

尻尾の動きもこれと連動していると思う。
皆さんも経験があると思うが、
美味しいおやつを犬に近づけると尻尾をブンブン振るが、
美味しいものが口に入ると尻尾の動きは止まってしまう。

ご飯を与えるときも「ヨシ」と言うまでは尻尾ブンブンだが、
食べ始めると“だらり”と尻尾は下がる。

尻尾の動きは興奮度合いを表していると言われているが、
何かを探していること自体が報酬になるのだ。
トゥーリッド・ルーガス氏は日本でのワークショップで、
散歩で自由に匂い嗅ぎをさせる他に、草の生えた庭にフードを撒いて
探しながら食べることも薦めていた。

それと似たことが屋内でもできる。
僕がプライベート・レッスンでお邪魔している家のカーペットが
とても細かい模様で、その上にフードが落ちると
その家の犬はとても一生懸命フードを嗅覚で探す。

これは犬と飼主さんで楽しむゲームに使えるのではと考えていたときに
仲間が面白いものを持ってきてくれた。
細かい模様のキルティングだ。

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その上に小さなフードを置くと犬の目どころか我々人間の目にも
フードのかけらがどこにあるのか見えなくなってしまう。
犬は鼻を使って探索するのだが、
何度か繰り返すとすごく夢中になるのがわかる。

数頭で試してみると1頭が探索している間、
周りで見ている犬たちが自分もやりたがり中には大騒ぎになる犬もいる。
(抑制の練習にいいかもしれない。)

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ぜひ皆さんもお試しいただきたい。
ただ、多数の犬で何度も使っていると他の犬の匂いがするためか
探索の最中にマーキングをしてしまう犬がいる。
こうなるともう洗っても使えない。
次から次とマーキングされてしまう。

何年か前のレイモンド・コピンジャー博士のセミナーで
ビレッジ・ドッグの話があり、1頭のメス犬が畑のカボチャに
マーキングしている写真が出てきた。
自分の所有だと周りの犬に伝えるためだという説明だったと思う。

『動物が幸せを感じるとき』でテンプル・グランディン氏は
猫の排泄問題と不安の関係について
ニコラス・ドッドマン氏の話を紹介している。
「猫は何か心配なことがあるときには、
自分の縄張りを再確認する強い欲求を生じる」そうだ。

食べ物について、不安と所有欲とマーキングが関連することは
あるのだろうか?非常に興味深い。

関連するといえば、身の危険(危機回避)と
テリトリー&食べ物を守ることには関連があるように思える。
どんどん話が広がっていくので、これはまたの機会に考えてみよう。
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インディアンの教え

家庭犬インストラクターの認定と応援が目的の団体
D.I.N.G.O.の代表は企画畑出身ということもあり、
さまざまなアイデアを提供してくれる。

かなり前だがD.I.N.G.O.が「インディアンキャンプ」を開催した。

ネイティブアメリカンの女性とテリー・ライアン氏を招き、
インディアンの衣装をまとってゲームなどで楽しもう!
というイベントだった。
(日本では「インディアン」という名称が流通しているため
この言葉を使用した、との但し書きがキャンプのしおりに記載された)

イベントは大変好評で数年にわたって開催されたと記憶している。
今回はその案内に書かれた「インディアンの名言」を紹介する。
案内では「子」の文字を「犬」に置き換えていた。


批判ばかり受けて育った子(犬)は非難ばかりします

敵意に満ちた中で育った子(犬)はだれとでも戦います

ひやかしを受けて育った子(犬)ははにかみ屋になります

ねたみを受けて育った子(犬)はいつも悪いことをしているような気持になります

心が寛大な人の中で育った子(犬)はがまん強くなります

はげましを受けて育った子(犬)は自信を持ちます

ほめられる中で育った子(犬)はいつも感謝することを知ります

公明正大な中で育った子(犬)は正義感を持ちます

思いやりのある中で育った子(犬)は信仰心を持ちます

人に認めてもらえる中で育った子(犬)は自分を大事にします

仲間の愛の中で育った子(犬)は世界に愛を見つけます



とてもこの詩が気に入ったので、
それ以来、僕のクラスのテキストに今でも載せている。
出所はなかなか見つからなかったが、
扶桑社文庫の『アメリカインディアンの教え』を見つけた。

詩の作者はドロシー・ロー・ノルトと言う人で訳は吉永宏氏。
詳細は不明だそうだ。

「する」と「している」のタイミング

少し古いが、犬が罰のタイミングをどう理解しているか?
という実験があった。
スタンレー・コレン氏やパメラ・リード氏の本にも紹介されているが、
中島定彦氏の論文で詳しく解説されている。
(「イヌの認知能力に関する心理学研究」生物科学58巻第3号)
簡単に説明してみると…

1968年Solomonの行った実験で、
部屋に缶詰の肉とドライフードの入った2種類の皿を置き、
犬が缶詰の皿を選ぶと鼻先を叩かれる。
(ドライフードはOK!)

1頭ずつ計18頭が1日1回20日間連続して行い、
全頭がドライフードしか食べなくなった。

ただ、犬たちは3つのグループに分けられていて、
最初のグループは「缶詰の皿に口をつけた瞬間(0秒後)」に叩かれ、
次のグループでは「缶詰の皿に口をつけてから5秒後」に、
最後のグループは「缶詰の皿に口をつけてから15秒後」に叩かれた。

次に実験者(犬の鼻先をたたく人)が消え、
1日10分間1頭ずつ部屋に入れ何日目に缶詰を食べるかを試された。
結果は…
最初のグループは16.3日、次のグループも8.2日で食べたのだが、
最後のグループはなんと初日の3分で食べてしまった。

このことから、叱るのなら悪い行動の終了後5秒以内に、
というルールが導かれる。

ここまではスタンレー・コレン氏や
パメラ・リード氏の著書にも出てくるのだが、
中島氏の論文には缶詰を食べた時の犬の様子が紹介されている。

「0秒後」のグループはひとたび口をつけるとむさぼるように食べたが、
「15秒後」のグループはすぐに食べ始めたがためらいながら食べた。

すなわち最初のグループは「食べようとした」ことに罰を受けたが、
「食べている」ことに罰を受けたわけではない。

また、最後のグループは「食べる」ことに罰を与えられたのではなく、
「食べている」ことを罰せられたのだ。

これからわかることは、犬にとって何かを「する」ことと
「している」ことは分けて考えているらしいということ。
なので食べることをやめさせたければ、
「食べ始めてから5秒以内」に叱らないといけないことになる。


犬とのコミュニケーションでは、このタイミングの理解が欠かせない。
人が「フセ」と言って、犬が伏せた瞬間に褒めれば
犬は「伏せる」ことを褒められたと理解するだろうし、
伏せてから15秒後に褒めれば、
「伏せている」ことを褒められたと理解するだろう。

とすれば、犬に「伏せ」を自発させたければ
伏せた瞬間にフードを与えればよく、
伏せ続けていたいと犬に思わせたければ
15秒以上(以降に)与え続ければよいことになる。


罰を与えない実験ならよかったのにと
45年後につぶやいても仕方ないのだが、
犬の認知を知ると少し犬に近づいた気になれて嬉しい。

誘導から自発行動まで 「マット」

前に、学習の手順について考えたが、
実際のクラスでは、どうやって自発行動を導き出すかが難しい。

クリッカーを使ったシェイピングが早いのだが、
初めての飼主さんには難易度が高すぎるため最初は誘導を使っている。
基本的には、

誘導 → 大好き → (だまし) → 自発

という手順で犬に伝えることが多い。

今回は「マット」(マットに行って伏せる)を教える手順を
上の順序にのっとって説明してみたい。

先行行動として「フセ大好き」を犬と飼主さんは学んでいる。
伏せを自発し「伏せ続けると良いことがある」と理解している状態。
(順序が逆になるが次の機会に「フセ」の教え方も考えてみる。)

まずは誘導で犬をマットに連れてきて伏せさせる。
マットを置く位置は誤解を生みやすいので注意が必要だ。
飼主さんの正面や横にマットを置くと飼主の位置と伏せを
関連づけやすい。で、斜め前に置くようにしている。

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誘導は繰り返しすぎると、誘導の動きがプロンプトとなってしまう。
(プロンプトとは行動が起こるきっかけとなる手助け。)
あとで消去するのだから余分なプロンプトはないほうがよい。

そんなわけで「誘導は3度まで」というルールに従っている。
が、3度ですべての行動が自発されるわけでもない。

ゴールをはっきりさせるために、誘導の後、
伏せの状態の犬に連続してフードを与える。
これを「大好き」と呼んでいる。
古典的条件づけと言ってよいのか、その場所とフードの関連づけだ。
(ちなみに犬はその行動を「する」ことと「している」ことは
分けて理解しているようだが、これについてはまた後日。)

この時に食べ物をたくさん持っている手(与える手でなく)の
位置が重要で、犬は「飼主がフードをその位置に持っている時」に
「マットの上で伏せているとフードがもらえる」ことを関連づける。

そこで少し意地悪をするのだが、
フードで誘惑し、動くと(正確には動こうとすると)フードを隠す。
それを繰り返すと「負の弱化」が起こり動かなくなる。
その後、「よし」で動かす。(まあ、だますわけです。)

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そうすると目的の行動を自発し始める。
すなわち自らマットの方へ行くようになるのだ!
最初は自発行動が少しでも出始めたら褒め、
徐々にシェイピングでゴール(完全にマットに乗る)までもっていく。

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ここまでうまくいくと10~15分程度。
以前の誘導中心の教え方では考えられない早さと確実性だ。

どうも「だまし」があるのとないのとでは、
自発度合いが違う。
だまされることでその場所(マットの上)をより意識するのだろうか。

ちなみに僕のクラスでは「マットの上に伏せる」とは、
犬の両肘がマットに乗っている状態というルールにしている。

「マット」の誘導から自発行動までを簡単に説明してみた。

人と犬の歴史

『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』
(溝口優司著・ソフトバンク新書)によると、
16(19?)万年前に人類がアフリカで誕生し、
いくつかのルートで世界に広がった。

2万年くらい前には日本に到達していたそうで、
(その後、縄文時代が始まり長い間続く)
3000年くらい前に寒い地域に適した骨格をした人類が
日本に入り、混血化が一挙にすすんだらしい。(弥生時代)

『人と犬のきずな』(田名部雄一著・裳華房)の中で、
田名部氏は1万5千年~2万年前に東アジアで
中国オオカミから犬に家畜化されたとしている。

また、田名部氏は『生物の科学 2007.7月』で
日本犬は縄文人が連れてきた犬が基になり、
その後、弥生人が連れてきた犬などとの混血により
成立したとしている。

人類(ホモ・サピエンス)は、
南北アメリカ大陸には1万5千年~1万年前に広がっていったようで、
その時に犬を連れていたのではと考えられている。

『犬と猫の行動学』(内田佳子・菊水健史著・学窓社)によると
犬の誕生は5~10万年前の東アジアではないかとしている。
それから人の移動と共に世界に広がったという。
3万5千年前にはシリアのネアンデルタール人の住居跡から
小型のオオカミに似た下顎が発見されている。

『アフリカで~』では
ネアンデルタール人は人類(ホモ・サピエンス)と共存していたが、
2万年前に消えてしまったそうで、なぜ消えたのかは諸説あるようだ。
人類と混血化し、吸収された可能性もあるらしい。

ネアンデルタール人は中央アジアあたりまでが生存圏だったようで、
もし東アジアが犬の家畜化の起源であればネアンデルタール人が
犬を家畜化したのではないと言えるようだ。

オオカミかその亜種が犬になり、その後人に家畜化されたのか、
オオカミかその亜種が人に家畜化されて犬になったのか?
犬が生まれた年代もそれによって変わってくる。

犬の家畜化が仔オオカミを人が連れてきて飼いならしたのか
人が暮らしている周辺にゴミを目当てにオオカミかその亜種が棲みつき
徐々に人になれたのかも意見が分かれるようだ。

シリアから出た骨がオオカミのものではないなら
オオカミからさまざまな亜種が生まれ、
その後ホモ・サピエンスが東アジアに到達し、
その地のオオカミの亜種が人類によって家畜化され犬になった、
という解釈も成り立つだろうか。


人と犬の共生関係を考えてみると
1万2000年前のイスラエルで人と共に埋葬された仔犬の骨は
写真でも確認できる。(『ドメスティック・ドッグ』チクサン出版社)
これが人間と犬との関わりを示す最古の遺跡だと言われている。

人が世界中に広がりさまざまな環境に適応できたのは
道具を使えるようになったためだが、
先日のNHK地球ドラマチック「イヌはこうして進化した」で
ジェームス・サーペル博士は、
犬の存在が大きかったのではないかと話していた。

山岳地帯でヤギや羊を人間の力だけで放牧するのは非常に難しい。
獲物を探す能力も犬に頼っている部分が多かっただろう。

『ヒトはなぜペットを食べないか?』(山内 昶著・文春新書)では、
古い遺跡に犬を食べていた痕跡があることを紹介している。
世界に人類が広がっていく過程で犬は非常食でもあったのだ。

同書では、現代に生きる狩猟民族が犬や豚の仔を人のお乳で育てる
事例も紹介されていた。(そうすると美味しくなるのだとか…)

先のNHK地球ドラマチックで、
レイモンド・コピンジャー博士がベリャーエフの銀ギツネの例から、
遺伝子は時間をかけて進化するというこれまでの説明とは異なり、
ひとりの人間が生まれてから死ぬまでの間に
オオカミが犬になった可能性を指摘していた。

1万年くらい前に始まり7~8千年前には広がっていた人の定住と、
爆発的に数が増えた犬の繁栄とその多様性の関係も説明がつく。
(これはレイモンド・コピンジャー博士が来日した際のセミナーで
「犬の起源」について話されていたこと。)

古代エジプトでは仔犬のミイラがお守りとして売られていたらしいが、
(昨年来日したクライブ・ウィン博士のセミナーでも紹介されていた)
あっという間に新しく生まれた犬は神秘に満ちていて、
祭られることは不思議なことではなかったかのかもしれない、
とコピンジャー博士も語っていた。

人は道具を使うことで体の進化を止めてしまったようだが、
犬は身ひとつでさまざまな環境に適応している。
極寒の地から乾燥、熱帯地帯まで驚くばかりだ。
ただ、人と一緒に暮らすことが条件であるようだが…。


犬の誕生と人との関係はまだまだ謎が多いが、
歴史を知るのも楽しい。

ペットショップに行く前に

犬をどこで手に入れるか、はとても難しい。
犬種の特性をつかみ、自分の生活パターンにあった犬種を選び、
社会化の知識と経験を十分に併せ持ったブリーダーさんを探し、
最良の方法と時期にわが家に連れ帰る。
それが一つの理想。

もう一つ考えたいのは、
保護された犬たち、社会からあふれ出た犬たちを迎え入れること。
仔犬でも成犬でもよいが、
シェルターから犬を引き取ることも考えてみてはどうだろうか?

成犬を引き取る場合はいくつか気をつけるべきことがある。
「疑り深い犬(後)」で書いたように、
シェルターや一時的に預かっていた家では警戒心から本当の資質が出ず、
新しい家庭に来てから自己主張が始まりそれが問題となる場合がある。
また、人の対応が変わるためそれが原因で問題が起こることもある。

いずれにせよ問題は解決すればよいのだが、
里親になる人は予め「そんなことがある」と知っておくとよいと思う。

犬を引き取る場合の条件はシェルターや自治体によっても異なるが、
しっかりした厳しい条件を提示しているところがよいと思う。
特に自治体は「こんな人がよい飼い主だ」という啓発的な役割も担う。

そんな中、とても共感できる活動をされている方を発見!
「ペットショップにいくまえに」という小冊子をつくられた
どい かや さんという絵本作家さんだ。

「ペットショップにいくまえに」で検索するとトップに出てくる。
小冊子は無料ダウンロードできA4サイズでプリントアウトし、
両面印刷して四つ折りにし、少しはさみでチョキチョキして
ホッチキスをパチンで、小冊子の出来上がり。

子どもから大人まで、
非常にわかりやすくかつ簡単に人に勧められる。

短大では、一番最初の授業で学生に作ってもらう。
来年からはひとり2つ作ってもらってひとつは誰かに配ってもらおう。

ペットショップにいくまえに

人の学びにコミットする

「教える」と「学ぶ」は別物。
教えたからと言って相手が理解したとは限らない。

当たり前のことなのだけれど、何かを教える人にとっては耳が痛い。
「前にも教えたように…」は禁句だ。
教えたことを相手が今、理解しているかが重要になる。
相手が学ぶことを約束はできないが、
教え手が学び手の「学び」に責任を持って可能な限り対応することを
「コミットする」というそうだ。

DSCN1072.jpg

効果的なインストラクションにはルールがあり、
それを簡単な言葉で解説している本がある。

「インストラクショナル・デザイン」(島宗理著・米田出版)を
何年も前にインストラクター仲間に教えてもらった。
とても勉強になったが、自分のクラスにどれくらい反映できたかは
かなり自信がない。

短大で教えるようになり、
インストラクターになる人には学んでいてほしいと思い、
授業で使うためにまとめ直している。
(ほんとに「教える」ことは「学ぶ」ことだ。)

話は変わるが、
最近「犬育て教室」のカリキュラムを作り直し始めた。
いくつか目的があるのだが、
キーワードは「わかった!できた!役立った!」

知識・技術・遂行がそれぞれ対応するのだが、
(詳しくは「インストラクショナル・デザイン」をご参照下さい。)
これまで実際にカリキュラムを作るときには犬の学習を中心に
カリキュラムを組んでいた。

オスワリの後にマテを教え、ヒールポジションを…
という感じ。

しかし、飼主さんにとってどんな気づきがあり、
どのような技術をどういう手順で学び、最終ゴールとして
どんな犬の問題を飼主さん自身が解決できるようになるのか、
などの具体的な目標を飼主さんに予め提示することはなかった。

そういったことの総体としてハンドリング・テストに合格することが
ゴールになっていた。

もちろん最初から飼主さんに難しいことを要求することはないし、
徐々に難易度が上がっていくようにカリキュラムは組んでいた。
問題の解決にもつながり、それなりに機能していたとは思う。
しかし、飼主さんの学習を細かく標的行動に分けて組み立てるような
作り方ではなかった。

これでは飼主さんが効率よく「犬」を学ぶことはできない。
犬との関係づくり、コミュニケーションを
スモールステップと成功の繰り返しで学んでいく必要がある。

現在、奮闘中なので、どうなっていくかはわからないが、
犬と飼主さんの学びをリンクさせながらうまく組めれば
少しは良いカリキュラムになるのではないかと思う。

犬に「教える」ことは飼主さん自身の「学び」に通ずると思う。
先は長いが乞うご期待!

ちなみに鈴鹿短大の演習ではクリッカーによるシェイピングを中心に
カリキュラムを組んでいる。
一般のグループクラスではクリッカーは少し後になってからだ。

飼主さんにとってクリッカーはタイミングを学ぶのには良いのだが、
クラスの最初はリードのコントロール、フードの与え方…
とやることが多いので先延ばしにしている。
その上、クリッカーを怖がる犬がいるとグループクラスが成立せず、
その時点でご参加いただけなくなるという問題もある。

プライベートクラスでは犬と飼主さんのペースで進めていけるので、
早い段階からクリッカーを使用している。

カナダのリエン・バーカー氏が来日した時に教えてくれたのだが、
彼女はこの問題を解決するために、
すべてのクラスはプライベートから始め、
クリッカーが使えるようになってからグループレッスンに
入ってもらうそうだ。
(彼女の初来日は7~8年前だったが僕たちに世界の最先端の犬の
トレーニング情報を教えてくれ当時は目からウロコの連続だった。)

また、リエンさんの話を再検討するのも楽しいかもしれない。

疑り深い犬(後)

前回に引き続き、ケン氏のセミナーの話だが、
あくまで見聞なので、僕の解釈に誤りがあればご容赦願いたい。

ケン・マッコート氏の公開カウンセリングで
「疑り深い犬」と診断されたMIX犬を観察しながら、
犬が新しい環境に入った時にとる行動について解説してくれた。

心理学者アブラハム・マズローの
自己実現理論の「欲求のピラミッド」にもとづいた考え方で、
犬の安全にたいする対応を階層的に説明したもの。

ちなみにマズロー博士の「欲求のピラミッド」の考え方は、
欲求には階層があり段階的に満たされ、

1.生理的欲求(衣食住など根源的欲求)
2.安全の欲求(外敵から守られる安全を求める欲求)
3.親和の欲求(他者との関わりを求める欲求)
4.自我の欲求(価値ある存在と認められたい欲求)
5.自己実現の欲求(自分の能力を伸ばし成長していきたい欲求)

からなる。
衣食住が満たされ、安心できる環境があってこそ他者との関わりを求め、
周囲から認められることで自身の成長を求める。
ということか。

ケン氏が最初にMIX犬を自由にしたのは、
(犬にも人にも危険がないことが前提になるのだが)
以下の考え方をもとにした対応とのこと。

初めての場所に犬が身を置くとき、
1.その環境は安全か?
2.相手が安全か?
3.どの程度までなら安全か?
4.どこまで自己主張が通じるか
と段階的に確認作業を行う。

1.その環境は安全か?
 この段階では、恐怖が強ければ動かずにじっとしているかもしれない。
 少し余裕が出てくると、周りの環境を探索し始め、
 危険がないかを確認する。

2.相手は安全か?
 その場所に他者がいる場合、自分の存在が脅かされないとわかるまで、
 不用意に動かないかもしれない。
 少し余裕が出てくれば相手のことを刺激しないように探索行動を行う。
 安心できて初めて食べ物を口にすることができる。

3.どの程度まで安全か?
 相手にどれくらい自分が受け入れられているかを確認する。
 近づいてみたり、匂いを嗅いでみる。

4.どこまで自己主張が通じるか?
 物やスペースの所有権を主張したりするなど、
 自分の欲求と相手の欲求とを調整する段階。
 里親になった成犬が、数か月後に問題を起こしたりするのは、
 1、2、3の段階を経てはじめて4の段階になるため。
 
環境の安全を確認しないとケン氏(他者)に対する警戒心も消えにくい。

探索中のマーキングはよい反応で、
そこに自分の場所を確保する意味がある。
(不安からくるマーキングかもしれない。)

環境と相手が安全であることが確認できたので、
ケン氏とのやり取りを再開し始めたのだろう。

犬の動きには必ず意味がある。
少しでもその意味を知りたいと思う。

疑り深い犬(前)

少し前になるが、
昨年11月に問題行動治療の専門家ケン・マッコート氏が来日し、
セミナーとワークショップが開催された。
今回は公開カウンセリングを見学して感じたことを書いてみる。

公開カウンセリングでは2頭の犬がカウンセリングを受けた。
飼主さんが犬を連れて個別カウンセリングを受け、
観客がその模様を見学するという企画だ。

ケン氏の知識と技術はとても刺激的で説得力があり、
カウンセリングについての僕たちの技法の多くは彼から得ている。

彼の考え方には学ぶべきものが多くあるが、
彼自身の人柄からも学ぶべきことが多い。
情報を惜しみなく教えてくれ、かつ、
自らも新しい情報を得るために常に学んでいる。

今回も新たな情報をいくつも与えてくれた。
公開カウンセリングで学んだ事をご紹介する。

1頭目は「過度なシャイ」ということで相談に来られた日本犬MIX。
プロフィールはさておき、飼主さえも信用していないようだという。

通常は2m程度のワイヤーに繋ぎ、
犬が動ける境界線にケン氏の椅子を置きカウンセリングが始まるのだが、
連れてこられた時からケン氏を恐れることなく(警戒はしていたが)
ケン氏と接触を伴うコミュニケーションをとっていた。
が、差し出されたフードを口にはしなかった。

この日は会場の中部盲導犬協会の広い講堂でオフリードにし、
行動の観察から始まった。
講堂中をウロウロし、床にマーキングした後、
ケン氏のもとに戻ってきた。

少しすると床に座り込んだケン氏からのフードを口にするようになり、
徐々に警戒心も薄れてきたようだったが、
ケン氏が立ち上がると距離をとりフードを与えようとすると警戒する。

小一時間後、ケン氏の出した診断はシャイではなく「疑り深い犬」。
安心できる状況で何度か裏切られたことがあるのだろう、という。
心からリラックスできないのだから相当疲れるだろうと思う。


僕にも経験がある。
あるT.プードルのメスで、ご相談は咬みつき。
足拭きや首輪を外す、毛についたゴミを取るなどの際に咬まれる。

初めてお邪魔したとき、怖がりでテリトリー意識の強い犬によくある
吠えながら前にでては下がる動きを繰り返す。
居間の床に座りしばらくすると落ち着くが、
僕の手の届く距離には近づかない。

美味しいフードを投げると食べては逃げるの繰り返し。
飼主さんを背にして、徐々に僕との距離が短くなってくるのが通常。
ここまでは理解の範囲内だった。

なかなか馴れなかったので、飼主さんからおやつを与えてもらった。
すると急に飼主さんから距離をとり、僕に背を向けてくっつき、
飼主の動きを警戒し始めた。
う~ん…理解不能。

その日は帰り考えた。
それで気づいたのが「おやつ」の印象。
次にお邪魔したときに「おやつ」について聞いてみた。
やはり普段は与えることがなく嫌なことをするときにのみ与えていた。
しかも飼主さんは犬の嫌がるサインを読めずに
ぐいぐい無理やりことをすすめていた。「おやつ」を与えながら…。
この繰り返しで犬は飼い主とおやつに対して反応していたのだ。

ケン氏の治療でも裏切らないこと!が第一重要項目。
信頼関係を結ぶこと、
学習の脳を使う報酬にもとづいたトレーニングを行うこと
などを飼主さんに伝えていた。
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