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飼主の外出に大騒ぎする

これまでいろいろな犬の問題行動にかかわってきたが、
どうもうまくいかなくて試行錯誤が続くことも多い。
もちろんそれなりにうまくいくことも多いのだが、
この問題にはこれ!といった対処法がないものがいくつかある。

そんな問題のひとつが、飼主の外出時に大騒ぎする犬。
特に咬みつくなどの攻撃行動に発展している場合がそれだ。
外出しようと鍵や財布、携帯電話を手に持つと騒ぎはじめる。
この時の「理由」によって対処法も分けて考えないといけない。

1.愛着がもととなる分離不安
2.資源(飼主)の消失への怒り
3.境界線の出入りのコントロール

などなど。しかし、これが混ざっている場合がほとんどだと思う。

これまでの基本的な対処法は

分離不安には、
・外出時と在宅時のギャップを小さくする
 (外出特に帰宅時に落ち着くまで待つ)
・外出のサインになる刺激の連鎖を断ち切る
 (鍵を持ってトイレに行ったり、コートを着てご飯食べるなど)
・外出のサインになる刺激を逆条件づけする
 (鍵を持つとフードが飛んでくる)
・自立心を育てる(ストーカー禁止=マテを教えるなど)
・要求にはいつでも応えられないことを伝える
 (抑制のきいた要求行動を教え、毎回は報われないことを教える)
・不安が大きい場合には薬の利用も考える
などが基本。

資源の消失には、
・飼主が部屋から出ることと「おいしい」と関連づける
・抑制をしっかりつける
・資源の管理と報酬を意識する(ただで与えない)
など。

境界線の出入り
・出入りのコントロール権は人にあることを伝える。
・人の出入りと「おいしい」を関連づける
・抑制をしかっかりつける
など。

共通項目として
・騒いでいる時にご褒美を与えない
 (愛着は飼主自身、資源は飼主自身と食べ物、境界線は食べ物)
・攻撃行動を出させない管理(リードでつなぐ、居場所を限定する)
・抑制をつける
・叱るなどは葛藤のもとになるので禁止
だろうか。

問題の原因は先ほども書いたように混ざっていることが多い。
なのでいずれの問題でも飼主が離れることの逆条件づけを行う。
具体的には

①飼主が離れるとフード
②飼主が離れるときに騒がなければフード(飼主が撫でる)

を脱感作を併用して行うことが多い。


以前からいろいろと試してみて、
効果がある程度期待できるようになるにはもうひとつ要素が必要だ。
それは内的報酬が外的報酬に切り替わってから
オペラント条件づけに持っていくことを意識すること。

つまり①飼主が離れるときにフードを与えるのだが
この段階をしっかりと繰り返すこと。
内的報酬が外的なものに変わるまでどれだけ時間がかかるかは
犬や上記の他の練習をどのくらいできているかによっても異なる。
通常数か月かかると思う。

その段階が終了してから次の段階②に進む。
飼主が離れるを脱感作を利用して2,30回繰り返すと
離れるときに反応しなくなるのでその時にのみフードを与えるなど。

時間がかかるのだが、今のところ一番好成績。
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疑り深い犬(後)

前回に引き続き、ケン氏のセミナーの話だが、
あくまで見聞なので、僕の解釈に誤りがあればご容赦願いたい。

ケン・マッコート氏の公開カウンセリングで
「疑り深い犬」と診断されたMIX犬を観察しながら、
犬が新しい環境に入った時にとる行動について解説してくれた。

心理学者アブラハム・マズローの
自己実現理論の「欲求のピラミッド」にもとづいた考え方で、
犬の安全にたいする対応を階層的に説明したもの。

ちなみにマズロー博士の「欲求のピラミッド」の考え方は、
欲求には階層があり段階的に満たされ、

1.生理的欲求(衣食住など根源的欲求)
2.安全の欲求(外敵から守られる安全を求める欲求)
3.親和の欲求(他者との関わりを求める欲求)
4.自我の欲求(価値ある存在と認められたい欲求)
5.自己実現の欲求(自分の能力を伸ばし成長していきたい欲求)

からなる。
衣食住が満たされ、安心できる環境があってこそ他者との関わりを求め、
周囲から認められることで自身の成長を求める。
ということか。

ケン氏が最初にMIX犬を自由にしたのは、
(犬にも人にも危険がないことが前提になるのだが)
以下の考え方をもとにした対応とのこと。

初めての場所に犬が身を置くとき、
1.その環境は安全か?
2.相手が安全か?
3.どの程度までなら安全か?
4.どこまで自己主張が通じるか
と段階的に確認作業を行う。

1.その環境は安全か?
 この段階では、恐怖が強ければ動かずにじっとしているかもしれない。
 少し余裕が出てくると、周りの環境を探索し始め、
 危険がないかを確認する。

2.相手は安全か?
 その場所に他者がいる場合、自分の存在が脅かされないとわかるまで、
 不用意に動かないかもしれない。
 少し余裕が出てくれば相手のことを刺激しないように探索行動を行う。
 安心できて初めて食べ物を口にすることができる。

3.どの程度まで安全か?
 相手にどれくらい自分が受け入れられているかを確認する。
 近づいてみたり、匂いを嗅いでみる。

4.どこまで自己主張が通じるか?
 物やスペースの所有権を主張したりするなど、
 自分の欲求と相手の欲求とを調整する段階。
 里親になった成犬が、数か月後に問題を起こしたりするのは、
 1、2、3の段階を経てはじめて4の段階になるため。
 
環境の安全を確認しないとケン氏(他者)に対する警戒心も消えにくい。

探索中のマーキングはよい反応で、
そこに自分の場所を確保する意味がある。
(不安からくるマーキングかもしれない。)

環境と相手が安全であることが確認できたので、
ケン氏とのやり取りを再開し始めたのだろう。

犬の動きには必ず意味がある。
少しでもその意味を知りたいと思う。

疑り深い犬(前)

少し前になるが、
昨年11月に問題行動治療の専門家ケン・マッコート氏が来日し、
セミナーとワークショップが開催された。
今回は公開カウンセリングを見学して感じたことを書いてみる。

公開カウンセリングでは2頭の犬がカウンセリングを受けた。
飼主さんが犬を連れて個別カウンセリングを受け、
観客がその模様を見学するという企画だ。

ケン氏の知識と技術はとても刺激的で説得力があり、
カウンセリングについての僕たちの技法の多くは彼から得ている。

彼の考え方には学ぶべきものが多くあるが、
彼自身の人柄からも学ぶべきことが多い。
情報を惜しみなく教えてくれ、かつ、
自らも新しい情報を得るために常に学んでいる。

今回も新たな情報をいくつも与えてくれた。
公開カウンセリングで学んだ事をご紹介する。

1頭目は「過度なシャイ」ということで相談に来られた日本犬MIX。
プロフィールはさておき、飼主さえも信用していないようだという。

通常は2m程度のワイヤーに繋ぎ、
犬が動ける境界線にケン氏の椅子を置きカウンセリングが始まるのだが、
連れてこられた時からケン氏を恐れることなく(警戒はしていたが)
ケン氏と接触を伴うコミュニケーションをとっていた。
が、差し出されたフードを口にはしなかった。

この日は会場の中部盲導犬協会の広い講堂でオフリードにし、
行動の観察から始まった。
講堂中をウロウロし、床にマーキングした後、
ケン氏のもとに戻ってきた。

少しすると床に座り込んだケン氏からのフードを口にするようになり、
徐々に警戒心も薄れてきたようだったが、
ケン氏が立ち上がると距離をとりフードを与えようとすると警戒する。

小一時間後、ケン氏の出した診断はシャイではなく「疑り深い犬」。
安心できる状況で何度か裏切られたことがあるのだろう、という。
心からリラックスできないのだから相当疲れるだろうと思う。


僕にも経験がある。
あるT.プードルのメスで、ご相談は咬みつき。
足拭きや首輪を外す、毛についたゴミを取るなどの際に咬まれる。

初めてお邪魔したとき、怖がりでテリトリー意識の強い犬によくある
吠えながら前にでては下がる動きを繰り返す。
居間の床に座りしばらくすると落ち着くが、
僕の手の届く距離には近づかない。

美味しいフードを投げると食べては逃げるの繰り返し。
飼主さんを背にして、徐々に僕との距離が短くなってくるのが通常。
ここまでは理解の範囲内だった。

なかなか馴れなかったので、飼主さんからおやつを与えてもらった。
すると急に飼主さんから距離をとり、僕に背を向けてくっつき、
飼主の動きを警戒し始めた。
う~ん…理解不能。

その日は帰り考えた。
それで気づいたのが「おやつ」の印象。
次にお邪魔したときに「おやつ」について聞いてみた。
やはり普段は与えることがなく嫌なことをするときにのみ与えていた。
しかも飼主さんは犬の嫌がるサインを読めずに
ぐいぐい無理やりことをすすめていた。「おやつ」を与えながら…。
この繰り返しで犬は飼い主とおやつに対して反応していたのだ。

ケン氏の治療でも裏切らないこと!が第一重要項目。
信頼関係を結ぶこと、
学習の脳を使う報酬にもとづいたトレーニングを行うこと
などを飼主さんに伝えていた。
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