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短大のカリキュラム(2)

前回に引き続き鈴短のカリキュラムを具体的に解説してみる。
授業は大きく座学と演習にわかれる。
座学はさらに3つにわかれる。
一般的知識と、犬についての専門知識、そのもとになる学問的知識。
①、②、⑩、⑪、⑭は一般的知識、③、⑫、⑬、⑮は犬の専門知識、
④は学問的知識、となる。

授業の中身を簡単にまとめてみる。

①ペット概論は、一般向けで獣医学的な視点から犬や猫について学ぶ。
からだのしくみや家庭で役立つ獣医学などが中心。

②ペット生活論は、一般向けで犬を取り巻く様々な状況を学ぶ。
いわゆる、犬の一般教養ってところ。
例えば、犬の学習や習性・能力、犬種特性、動物行政(法律含む)、
ペットロス、動物福祉、動物介在教育、倫理と道具、パピー、
犬の飼い方、犬の性格診断など様々。

CIMG2419_convert_20111124062704.jpg

③ペットコミュニケーション学Ⅰは、
犬を飼うすべての人に知っていただきたい「犬学」のすすめ。
例えば、犬の歴史、本能、学習、ボディーサイン、クリッカー、
アニマルウェルフェア などについて学ぶ。

④ペットコミュニケーション学Ⅱは、もう少し学問的。
動物行動学や学習心理学の基礎を学ぶ。
今年は学習の基礎となる部分を行動分析学の研究者を講師に招き
集中講義をして頂いた。

⑤演習Ⅰは、ハンドリングの基礎を学ぶ。
前半は、ハンドリングで人が求められる技術を犬なしで学ぶ。
後半は、犬にケアーを受け入れてもらうためのエクササイズと
基本的なD.I.N.G.O.イントロクラスのハンドリングを学ぶ。

ちなみに演習は自分の犬で受講できる。
その他の学生は学校犬のすず、学外協力犬(現在3頭)と一緒に学ぶ。

⑥演習Ⅱは、D.I.N.G.O.ノービスクラスのハンドリング。
基本的な行動の伝え方を学ぶ。
エクササイズを通してモチベーショナルトレーニングの考え方を
理解できるようにテキストは作られている。

⑦演習Ⅲは、より細やかなコミュニケーションが必要とされる、
D.I.N.G.O.アドバンスクラスのハンドリング。
後半にアドバンス・ハンドリングテストの各項目をデモ犬で受ける。

⑧演習Ⅳは、ドッグスポーツなどを実際に体験する。
競技のルールなどを学んだ後、天候にもよるがドッグランでお試し。

⑨演習Ⅴは、前半はクラスのカリキュラムを製作する。
後半は1年生の演習Ⅰにアシスタントとして参加する。
人は教えることで学ぶことがとても多い。
実はこの授業は来年度から実施する。

⑩特講Ⅲは、現場で求められるコミュニケーション技術を学ぶ。
社会で必要な一般的な知識と技術を身につけることを目的としている。

毎年、進化している授業(発展途上ということ!)で、
サービスの基本や、犬の仕事のマネージメント、
顧客や組織内でのコミュニケーションに役立つエクササイズなどを、
試行錯誤で学んでもらう。

実際に職場での報告などの際に求められる基本的な文章力と論理力
(言葉で物事を伝える能力)を鍛えることも含まれる。

例えば、言葉だけで地図や国旗、状況や作業手順を伝える練習や、
言葉を使わずに仲間で協力して問題を解決をするエクササイズが
用意されていて、見ているだけでも楽しい。

⑪特講Ⅳは、プレゼンテーションとインストラクションを学ぶ。
テキストの文章を抽象化し、要点をまとめ、キーワードを拾い出し、
具体的な言葉でプレゼンテーションする。
テキストは、『インストラクショナル・デザイン』島宗理著。
インストラクションの基本的なルールを学ぶが、
実際には共同でのプレゼンテーション経験がとてもためになると思う。

⑫特講Ⅴは、2つからなる。
ひとつは犬のボディーサインを連続写真から読み取る。
『ドッグトレーナーに必要な「深読み・先読み」テクニック』
ヴィベケ・S・リーセ著がテキスト。

これまではイベントで撮影した写真や映像で学ぶしかなかったのだが、
良いテキストが出版されてありがたい。
(『犬って何考えてるの!?』PHP グエン・ベイリー著もよかったが
残念ながら絶版!連続写真ではないが、とても良い入門書)

もうひとつは犬のトレーニングエクササイズの技術論。
褒め方から叱り方、プロンプトの引き上げ、トレーニングレベルの調整
など、実際のトレーニングで役立つ理屈を学ぶ。

⑬特講Ⅵは、問題行動の解決。
これまで学んだ知識の総集編と言ってもよい。
問題行動の基本を学んだ後、実際の問題の対処法を考える。
今年は学生の犬の抱える問題を俎上に載せる予定。

⑭アニマルセラピーは、前半と後半にわかれる。
前半は人と動物との関係について学ぶ。
人と動物の家畜化の歴史や動物が人に与える影響、
人や社会と動物とのかかわりなど。

後半はAAA(動物介在活動)やAAT(動物介在療法)、
学校などで行うAAE(動物介在教育)の知識を得る。

僕が関わっている少年院や薬物治療共同体でのプログラムや
過去にかかわったAAAや小学校でのAAEについても紹介する。

⑮動物看護学、⑯動物看護演習、⑰トリミング実習は、
今年度の入学生からスタートする授業。
動物病院への就職希望者が多いことから加えられた。

以上が、短大でのペットコースの専門授業。
これに一般教養、開業獣医師による公開講座が加わる。
授業の作り方についてはまたの機会に考えたいが、
できるだけ講義式にならないように今後改良していきたい。

ちなみに、ペット生活論、ペットコミュニケーション学Ⅰ、Ⅱ、
特講Ⅴ、特講Ⅵは、一般の方も受講できる。(特講Ⅴは予定)
15回で1万円と非常にリーズナブル!?
一度お試しあれ。
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短大のカリキュラム(1)

家庭犬インストラクターに必要な知識と技術を考える際、
キーワードは「科学的に、人道的に」。

我々が考える家庭犬インストラクターというのは、
科学的な視点を持ち(ホンマかいな?を繰り返す)、
肉体的・精神的苦痛を与えない人道的なコミュニケーション方法を
飼主さんに伝えるのが仕事。

犬についての知識と犬に意思を伝える知識と技術、
それらを飼主さんに伝えるための知識と技術も学ばねばならない。
こういった知識や技術は、動物と飼主さんにかかわる職業であれば、
インストラクター業以外でも役立つと思う。

短大では、当初、インストラクターを養成することを目的に
カリキュラムを作成していた。
が、諸事情からペット業界での就職を目指すものに変更された。
それにより演習や特講の内容が若干変更され、
新たな授業(下記の⑮、⑯、⑰)が加えられた。

演習や特講では、
クラス運営やインストラクションの現場で必要な部分と
人に技術を伝える実践部分(模擬クラスなど)を減らした。
が、コミュニケーション能力はどんな職場でも必要なので
重要な部分は残した。

現在の授業は、

①ペット概論、②ペット生活論、③ペットコミュニケーション学Ⅰ
④ペットコミュニケーション学Ⅱ、⑤演習Ⅰ、⑥演習Ⅱ、⑦演習Ⅲ、
⑧演習Ⅳ、⑨演習Ⅴ、⑩特殊講義Ⅲ、⑪特殊講義Ⅳ、⑫特殊講義Ⅴ、
⑬特殊講義Ⅵ、⑭アニマルセラピー、
⑮動物看護学、⑯動物看護学演習、⑰トリミング実習

の17の専門系の授業に、
心理学や生物学、生理学、微生物学、免疫学、
マナーついての特殊講義(特講)、人間関係論
語学、情報処理
などの一般教養が加わる。

短大はこども学のコースもあるので、
発達心理学や教育心理学など他コースの専門分野も学べる。

これから数回に分けてペットコースの
カリキュラムをご紹介していこうと思う。

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学生と見学

そこに行ったのは何回目だろうか。
初めて行ったのはインストラクターになりたての頃。
動物を助ける手伝いができないかと、ある愛護団体に入会し、
施設見学の手続きをお願いし、早速、作業を見せていただいた。

当時は小動物施設管理公社と呼ばれており、
処分される犬や猫の総数は年間1万頭近かった。
当時の処分機は大がかりなもので、処分される犬猫のストレスも
大きいと感じた。

その後、職員の方々の努力と処分数の減少で設備は小型化し、
殺処分される動物のストレスも相当減ったのではないかと思う。
反面、作業を見せていただくに職員の方のストレスは
確実に増えていると思われる。


先日、夏休みの学外授業で愛護管理センターと名称が変わった施設を
学生と共に訪れた。
名称は変わっても建物自体は昔のまま。
職員の方々が製作した譲渡の犬猫のための手作りの小屋が増えた。
(といってもとても手作りとは思えない!)

施設を紹介するレクチャーを受け、
殺処分数を減らすために我々にできることを考える。
職員の方々がどんな気持ちで作業をされているかを知り、
死んでいく動物たちのことを想う。
そして殺処分の見学。

学生にどこまで見せるかを決めるのは難しい。
殺処分自体ショッキングなこと。それを目の前で見せるべきか?
自分自身の体験に基づいて考えれば、相当ショックではあったけれど、
「こんなことを許しておくわけにはいかない」という
自分の仕事に対する覚悟のようなものができた気がする。

で、しっかり見せることにする。
職員の方々もとても心配してくださったが、
学生を社会に送り出す側としては、現実を知らずして
ペット関連の仕事につくのは無責任なことだ、とも思う。

それぞれの動物たちがどういう理由で連れてこられたかをお聞きし、
犬が殺処分機に送られるのを見る。
もちろん殺処分を見ることを強要してはいない。
どの段階でも外に出られるようにし、学生個人の意思を尊重した。

が、実際にはすべての学生が最後まで見学した。
今回は殺処分後の遺体の確認まではせず、
処分機から音がなくなるまで見守った。
命の消える凍りつくような時間だ。

なんど経験しても心に刺さる体験。
学生たちの多くも涙していたように思う。
ペットに仔を生ませ、販売し、
育てる手助けをする仕事に就くであろう彼ら彼女らの、
安易な動物の飼育に対する警鐘の気持ちに「実感」が伴うだろうか。

見学後、気持ちを落ち着かせる時間をとるために
車で5分ほど離れたわが家に希望者を連れていく。
わが家の老犬としばし戯れ、笑顔がもどる。

今回愛護管理センターを見学したのは短大の1年生。
実は2年生の見学は食肉流通センターだ。
こちらもレクチャーを受けた後、
食肉衛生検査所の職員の方に案内していただき、
牛のと畜を見学する。
見事というべき職人技の流れ作業で牛が解体されていく。

頭に専用の銃を打ち込み絶命させ、あっという間に食肉になっていく。
人によってさまざまだろうが、正直に僕の心の衝撃を考えると
愛護管理センターでの気持ちの方が重い。
この違いは何なのだろうか?

同じ動物の命を奪う行為を見ているのだが、
一方は心がキリキリ痛み、
一方もショッキングではあるものの痛みは明らかに少ないと思う。
同行した仲間の教員にとってはそうでもなかったようだが…。

動物種によって扱い方や態度を変えることを
「種差別」と呼ぶ考え方がある。
われわれは動物の肉を食べて命を保っている。
一方で別の動物種をかわいがり、その動物種の殺処分に心痛める。

この二つの体験を通して「命」への問いかけから
学生は何を得るのだろうか。

短大で「犬」を学ぶ

今月はイベントなどで忙しく、
書きたいことは山ほどあるのだが、
なかなかブログをゆっくり書く時間がなかった。

先週は、ケン・マッコートが来日しトレーニングキャンプのお手伝いと、
行動カウンセリングの見学、セミナー2つに参加と大忙し。

それもやっと終了。
ずっと楽しみだったので、なんだか終わってホッとするが残念でもある。

ケン氏の話はまたにして、今回は短大の話。

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現在、短大でペットコースを担当している。
学生は、学校犬すずや自分の犬とともに
「人と犬の暮らし」のための知識と技術を学ぶ。

本来の僕の仕事は、
犬の育て方を飼主さんにお伝えする家庭犬インストラクターで、
インストラクターの養成も仕事のひとつ。

短大でのペットコースの開設にあたって考えたのは、
大学と短大と専門学校の違いは何か?ということ。

僕の理解では、
大学は基礎学問と応用的な知識の両方を学び、
社会で未知の問題に対処する力を養う。

専門学校は現場で役立つ知識と技術を学び、
現場で役立つ人を育てる。

短大はその中間だろうか。
現場で役立つ専門知識や技術を学び資格を得る。
と同時に基礎学問も学び、社会での問題に対処できる力を養う。

現場で役立つ応用的な知識と技術は僕の専門分野だ。
どう伝えれば学生たちにとって有益かを日々考えている。

しかし、基礎的な学問はぜひ科学者から学んでほしい。
僕の仕事は、科学者の研究結果を現場で活用し、
生活に役立つ情報として飼主さんや学生に伝え、
その伝え方を学生と共に考えること。

科学者には「科学的な視点」や「科学的な考え方」がある。
それを学生に伝えてもらいたい。

そうすればバランスのとれた、
短大ならではのカリキュラムになるのではと思う。
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